東方からの響き

W・Q・ジャッジ著 神智学の概要の本。星野未来訳

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 西洋の人に非常に奇妙な迷信のように見えるのは、インドに広く存在する、測り知れないほど高齢であると言われる不思議な人たちについてと、その人たちが普通の旅行者には近づけない場所に隠遁しているという考えである。長いことインドで一般に認められているこれらの存在に当てはめられた名前は、サンスクリット語でよく知られている「マハートマ」である。この語は二つの語が組み合わさったもので、つまりマハ(大きな)とアートマ*1(魂)から成る。このような人たちの存在を信じることは、無知な人に限らず、すべてのカーストの教養ある人にも共通している。低い階級の人たちはマハートマたちを神のような存在とみなし、彼らの驚くべき能力と長寿について思いめぐらす。博学な人や知識階級、そして教養あるインド人たちは概して、それとは異なる考えを持っている。その人たちは、マハートマが自然法則と、人の歴史および発展について無限の知識を有する魂あるいは人間だと言う。また次のことも断言する。マハートマたちーー時にはリシたちとも呼ぶーーはすべての自然法則の知識を長い間保存してきたが、それは門弟たちの間で語り継がれるだけでなく、インドの数多くある地下の寺院と通路のどこかに存在する蔵書と実際の記録によっても保たれてきたのだ、と。ある信奉者たちは、ヨーロッパ人に知られていないチベットの地にも至るところに隠された場所があり、そこには本と記録が保管されていて、そこへ近づくことが可能なのはマハートマとアデプトだけだと主張する。

 人間は霊的な存在ーー言い換えれば、魂ーーであり、この魂がついには完全な英知に達するためにこの世の人生から人生へ、異なる肉体をまとって生まれ、経験を重ね、マハートマあるいは完全になった魂の住まう場所に合った体を身にまとうことが可能となるのだ、という古いインドの教えから全世界に広がった説が信用された。それから、ある特別な魂が人類の霊的助力者となるという。完成された人たちは、宇宙と世界の始まりについて真相を知っており、それだけでなくこの地球上と他の惑星上での人の進化についても知っていると言われている。

 そのような教えはインドでのみ保たれていて、この短い批評を無視するのも自然なことだろう。しかしアメリカとヨーロッパの大部分の人が同じ信仰を持っているのがわかったら、このような思想の非西洋的な発展について特筆するのは興味深い。

(つづく)

 

*1 アートマ…大我。

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読者へ

読者へ

 

 『東方からの響き』はジャッジ氏により一六年前(一八九〇)に、有名な雑誌のために書かれた一連の著作集である。著者はこれを「Occultus」の名で書いた。シリーズが全部揃うまで誰が書いたかを隠す意図があってそうしたのだ。神智学の教えを大衆的に紹介するものとしてこれらの雑誌は、本としても出版された。初版の「はしがき」でジャッジ氏はこう書いた。

 

 「雑誌の大衆受けする性質から、扱う論題への制約により、哲学や宗教の雑誌なら可能だったであろう細部の詳述が、排除されて刊行された。ごまかしを装ってはいないので、東方諸国で理解されているような神智学の主題は余す所なく扱っている。それというのも、神智学の真理を研究のために保管する賢者たちが、何百万年もの間、一身を捧げて守っていると信じ、耳に響くことのいくつかを繰り返し言う以上のことができる書き手は一人もいないと思うから書いたのである。」

 

 読者は、当時(一八九〇)から神智学運動の展望と感化力が大いに広がったことを思い出すべきである。「普遍的同胞団」と「神智学協会」の仕事は今、世界中のほとんどすべての国に達している。

 

一九〇六年 カリフォルニア  ポイント・ロマ

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献辞

愛と感謝をこめて

ヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキーに捧げる

 

著者

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